大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和25年(う)2445号 判決

控訴人 被告人 石田こつゆ

弁護人 渡辺昇治

検察官 米野操関与

主文

原判決を破棄する。

本件を柏原簡易裁判所に差し戻す。

理由

刑事訴訟法第三百九十二条第二項により職権で調査するに、本件起訴状によれば、公訴事実第二は要するに朝鮮人某が能勢栄治から精米四斗を買受けるにあたり被告人がこれを幇助したというのであり、罰条として関係食糧管理法令の外に刑法第六十二条を記載しており、明らかに従犯としての起訴であるのに対し、原判決は被告人が能勢から精米四斗を買受けた旨の買受行為正犯として認定していること明白である。

しかし、裁判所は裁判するにあたつて起訴にかかる訴因に拘束されるのであるから、右のごとく従犯の起訴に対し訴因をそのまゝとしながら正犯の認定をするごときは、許されないところに属し違法なること勿論である。

よつて被告人の控訴趣意に対する判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第三百七十八条第三号第四百条本文に従い主文のとおり判決をする。

(裁判長判事 荻野益三郎 判事 佐藤重臣 判事 梶田幸治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例